ジビエ

▼ジビエ
~Gibierとは?

 ジビエとは、野原や森林などに自然な状態で生息し、狩猟などでとって食用とする動物をいい、
野鳥類と哺乳類に分けられる。
鳥獣たちが寒い冬を迎える準備のために体内に栄養を蓄えるため、ジビエは秋からおいしいといわれる。
かつては狩猟によって得られていたジビエだが、現在は飼育されたものも多い。

野生と飼育ジビエを分類する名称
《ソバージュ~Sauvage》
 野生:狩猟で得るなどした野生のジビエや自然に生える野菜などを指す。

《デミ ソバージュ~Demi Sauvage》
 半野生:ここでは飼育された鳥獣を指す。

フェザンタージュ~Faisandage
 とくに雉(キジ)などは、屠鳥後すぐのものは本来の旨みがありません。
3〜4日熟成させて始めて、美味しさの本領を発揮します。
熟成させることをフランス語でフザンダージュといいますが、その語源は雉(キジ)のフランス語フェザンが由来しています。

▼真鴨
~Colvert(コルベール)

 野鴨の代表種、真鴨。
雄の頭部が青緑色をしているのでフランスではコル ヴェール(青い首)と名づけられ、日本でも「青首」の通称がある。
 雌は全体がこげ茶色で、雄よりも脂肪が厚く、風味が濃厚であるといわれる。

▼サルセル鴨
~Sarcelle

 サルセル鴨は「小鴨」とも呼ばれる、野鴨の最小型の品種。成鳥でもウズラほどの大きさ。
雄は真鴨同様、頭部が美しい緑色をしている。

▼ベカス
~Becasse

 ベカスはジビエの中でも特に珍重される希少な鳥。
体長は30〜40cmの小型の野鳥で、森林の茂みに棲息し、昆虫類を食べる。
くちばしの先端には触角細胞があり、土や木の葉に差し込んで獲物を捕らえる。
 ベカスの肉は適当な潤いと豊かな旨味を含み、味わいは繊細。そして、肉にも増して、内臓に高い価値が置かれる。ベカスの醍醐味は内臓にあるとまで言われるほどで、これをつけたまま調理する事が前提とされる。

▼雉(キジ)
~Faisan(フェザン)

 日本でもヨーロッパでもポピュラーな野鳥。
雄は羽が美しく体も大きいが(体長約80cm)、肉が柔らかくおいしいのは雌(体長約60cm)。
 雉の特徴は、独特の野生の香りの強さ。
「フェザンタージュ(肉の香りと旨味を引き出すために熟成させること。)」の語源であることからもわかるだろう。
熟成によって香りをいかに引き出し、どう生かすかが料理のポイントになる。

▼山ウズラ
~Perdreau(ペルドロー)

 ペルドローにはグリ(灰色)とルージュの2種類がある。
ペルドロー ルージュのほうが大柄で、風味は淡白。肉は雉に似た白身で、血の風味は少ない。
ペルドロー グリも、基本的には白身肉だがコクと旨味はより豊かで、肉質は柔らかい。
 なお、品種には関わらず、生後1年未満のものをペルドロー、それ以上に成長するとペルドリと呼んでいる。

▼雷鳥
~Grouse(グルーズ)


 肉は赤身でやわらかく、独特な香りがあります。


▼野ウサギ
~Lievre(リエーブル)

 野ウサギは、厳密には穴ウサギ~Lapin de Garenne(ラパン ド ガレンヌ)と野ウサギ~Lievre(リエーブル)に分かれるが、四肢の長短で見分けられる。
 野ウサギはとりわけ強い野生の香りをもつ。
この香りこそが野ウサギの醍醐味であり、伝統的な野ウサギ料理に必ずといっていいほど血が入るのもその野生の香りを強調するため。肉質はとにかく固く、脂肪が少ない。火を入れるとどうしてもパサつくという扱いの難しい肉である。
なお、野ウサギは雑食性で、そのウサギが食べてきたエサや環境によって個体差が出やすい
また、血や内臓にも個体差があるので注意が必要。

▼鹿
~Chereuil(シェヴルイユ)

鹿肉は脂肪が少なく深紅色の赤身で、ヨーロッパでは、2歳ぐらいのノロ鹿~Chevreuil(シェヴルイユ)、赤鹿~Cerfを食べる
日本では、主に北海道のエゾ鹿がジビエとして流通している。

※柴田書店「月刊 専門料理」より

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